自己紹介
初めまして。
補聴器デコチップ®開発者・デザイン製作担当の北村と申します。
私は東京・福生市で西部補聴器という補聴器専門店で店長として難聴ユーザーの聴こえのサポートをしています。
認定補聴器技能者として10年難聴ユーザーに関わってきました。
聞こえの悩みを解決してきた人数は述べ2000人になります。
服飾系大学を卒業後、アパレル業界で勤務していました。
結婚をし退職をして子育てをしていましたが、父親が補聴器に関わる仕事をしていた関係で補聴器業界へ進むことになりました。
父はSiemens(現シバントス)の日本支社立ち上げメンバーの一人で、私にとって補聴器という存在は子供の頃から身近にあるものでした。
デコチップが出来るまで
沢山の方と関わり、補聴器を調整する中で共通したお声をいつも頂いていました。
それは「補聴器の見た目がダサい」という悩みです。
ご家族からの勧めで来店しても、かっこ悪いから付けたくないという人も多数います。
補聴器=老人=ダサいというマイナスのイメージが付きまとい、さらに高額商品という事で補聴器を嫌煙される方が非常に多い現状を何とかできないだろうかと考える日々が続いていました。
お世話になっている施設の施設長とお話をしている時、「どうして補聴器はオシャレなものが無いの?」と聞かれたこともデコチップを開発する大きなきっかけになりました。
車いすや杖など補装具といわれる物は、地味でファッションとは縁遠いものと思われがちですが実際はオシャレなものが沢山出ています。
最初は抵抗があったとしても、おしゃれの一部として使う事で抵抗が薄くなり、さらに自分が楽になるとわかって積極的に使うようになる…そんなお話を聞く中で言われた一言でした。
どうすれば補聴器のイメージを変えることが出来るのか?
適切に調整をされた補聴器を使ってもらう事で、生活の質は格段に上がります。
しかし最初の段階で「ダサいから使いたくない」と言われてしまっては、どれだけ便利なものかを体験してもらう事すらできません。
試行錯誤を重ね、イヤモールドをオシャレにするアートモールドなどを製作しInstagramなどに投稿をしていた所一人のユーザーからDM(ダイレクトメッセージ)を頂きました。
その人はネイルシールなどを使って直接補聴器にデコレーションをして楽しんでいる人でした。
直接補聴器にデコをすると、場面によってはそのシールをはがさないとならない事があり、できれば何度でも同じデザインで楽しめるようにしたいと考えていたそうです。
汗対策のカバーは販売されていても、子供向けが多く大人向けの物はありません。
出来るのならば何度もつけ剥がしができるネイルチップのようなものは出来ないだろうか??
そんな商品を探しているけれど、何処にも売っていないので作ってくれないか?と言われました。
イヤモールド制作も手伝っていたので、その技術を応用して作成できるのでは?と考え開発を開始しました。
ほぼ毎日寝ずに試作をくり返し開発から3日ほどでチップ形状の物が完成しました。
出来上がったチップにどんな素材を使用するかなどをあれこれと実験し、アートするにはどうしたらよいか?など試行錯誤の日々が続きます。
開発を開始してから1週間程度で、大体どの素材で同加工したらよいか決まってきたのでモニターを数名にお願いして使ってみる事にしました。
カバー状ではなく補聴器の表面に張り付ける形にしたので、両面テープやネイルチップ用のシールで汗をかいたときにどのくらい耐久性があるのか?毎日使用するにあたっての強度などはどうか?をモニターさんにチェックしてもらいました。
ひと月ほど使ってもらい、改良を重ねることをくり返し2019年7月に試験販売を行いました。
補聴器デコチップ®の意外な効果
モニターさんと試験販売で購入していただいたユーザーさん達から、意外なお話を聞くことがありました。
頂く声はポジティブな声ばかりでした。
お子様は自分で進んで補聴器や人工内耳を使うようになったという声が多く寄せられました。
大人の方は髪形を好きな髪形にできるようになったり、自信を持てるようになったというように気持ちがすごく前向きになったというお声を多くいただきました。
気持ちの面だけではなく、意外だった声としては「難聴であることを伝えやすくなった」という声でした。
補聴器を付けていることを隠すと、難聴であることに気がついてもらえません。
しかし補聴器デコチップ®をつけると「見てみて!」と見せびらかしたくなるそうです。
補聴器を付けていることがわかってもらえると、相手が配慮をしてくれるようになります。
補聴器だとわからなくても「それはなに?」と声をかけられることで、難聴や補聴器について話すきっかけになっているそうです。
デコチップ®に込めた願い
補聴器のイメージを良いものにして、少しでも補聴器を好きになってほしいと思って作った補聴器デコチップ®ですがたくさんのユーザーの声を聴くことで、いろいろな想いが沸き上がりました。
私は補聴器デコチップ®を製作しながら
「ユーザーが笑顔になって、周りの人も笑顔になる。そんな幸せを広げるアイテムになってほしい」
と願いながら作成しています。
補聴器デコチップ®をきっかけに補聴器や難聴に対しての偏見や誤解が無くなり、見えないバリアが無くなっていく事を願っています。